「旅育」というと、なんだか立派な計画を立てなければいけない気がしますが、わが家の場合はもう少し気軽。せっかく出かけるなら、ただ眺めるだけでなく、子どもが「へえ」「これ何だろう?」と感じる瞬間があればいいな、と思っています。
今回の行き先は、福岡県宗像市。世界遺産に関わる宗像大社(辺津宮)を中心に、海が見える公園と道の駅にも立ち寄りました。
実際に訪れたのは12月29日。初詣の準備が進む年末の境内を歩きながら、子どもたちと古代の歴史や自然に触れた日の記録です。写真はいずれも訪問当時のもの。お出かけ前に役立つ施設情報は、記事作成時点の公式案内と区別してご紹介します。
【この記事でわかること】宗像大社が親子のお出かけに向いている理由/辺津宮で見たい場所/北斗の水くみ海浜公園と道の駅むなかたの楽しみ方/訪れる前に知っておきたい注意点
宗像大社は「ひとつのお宮」じゃない? 親子で知った三女神のお話
宗像大社を訪れる前に知っておくと、歩くのが少し楽しくなる話があります。宗像大社は、本土の辺津宮(へつぐう)、大島の中津宮(なかつぐう)、沖ノ島の沖津宮(おきつぐう)という三つのお宮の総称なんです。
- 沖津宮(沖ノ島):田心姫神(たごりひめのかみ)
- 中津宮(大島):湍津姫神(たぎつひめのかみ)
- 辺津宮(宗像市田島):市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)
この三柱を「宗像三女神」と呼びます。古事記や日本書紀にもつながる話なので、神様の名前が難しくても、「三人の女神さまが海を挟んだ別々の場所にいるんだって」と話すだけで、いつもの神社参拝とはちょっと違う目線になります。
そして「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、2017年に世界文化遺産に登録されました。宗像大社だけでなく、沖ノ島や周囲の岩礁、古墳群などを含む8つの構成資産が評価されています。今回私たちが訪れた辺津宮も、その一つです。
宗像の海が古代の人々にとって、大陸との交流や航海の安全を祈る大切な場所だったと知ると、「海を見る」という行動にも少し意味が生まれます。子どもたちに歴史の暗記を求めなくても、旅の景色と結びつくのがいいところですね。
宗像大社をきっかけに、親子で日本神話を読んでみるのも
宗像三女神の名前を聞いて、「日本の神様って、ほかにはどんな神様がいるんだろう?」と気になったら、神話の本を開いてみるのも楽しそうです。神社で見た景色と本の中の物語が、ふとつながるかもしれません。
絵と一緒に親子で楽しむなら、徳間書店の『はじめての古事記』。日本神話に初めて触れるきっかけとして手に取りやすい一冊です。
自分で物語を読み進めたい子には、集英社みらい文庫の『日本の神さまたちの物語 はじめての「古事記」』という選択肢も。読書の好みに合わせて選べるのがいいですね。
どちらも宗像三女神だけを詳しく解説した本ではなく、日本神話の世界に親しむための読み物です。旅行の思い出話から、本の世界へ。そんなふうに興味がつながったら素敵ですね。
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実際に歩いた宗像大社・辺津宮の見どころ
参拝に訪れたのは年末の12月29日。境内では初詣の準備が進められていました。私たちも、ゆっくり歩きながら気になった場所で足を止めていきました。
鳥居から太鼓橋へ。大人は景色、子どもは池の鯉
広い駐車場を抜け、鳥居をくぐって進みます。最初から厳かな気持ちで……と思っていたものの、子どもが目を向けたのは池の鯉。太鼓橋のそばで魚が泳ぐ様子を眺める時間も、楽しい寄り道になりました。


「歴史を学ぶぞ!」と大人だけが張り切っても、子どもの興味は思わぬ方向へ飛んでいくもの。でも、その寄り道ごと楽しめるのが親子旅の良さかもしれません。
拝殿・本殿を見学。長い歴史が目の前に
境内を進むと、辺津宮の拝殿と本殿へ。現在の本殿は1578年、拝殿は1590年に建立されたもので、どちらも国の重要文化財です。何百年も前の建物が今も大切に守られていると思うと、ただ「立派だね」で終わらせるにはもったいない場所でした。

子どもたちは、おみくじも楽しんでいました。娘が大吉を引いて、たいそうご満悦だったのを覚えています。歴史の説明より、もしかするとその日の「大吉」がいちばん心に残ったかも(笑)。
第二宮・第三宮と、木々の中の高宮祭場
拝殿の周辺を歩いた後は、緑に包まれた参道へ。足元のどんぐりに夢中になる息子と、木々の中の空気を気持ちよさそうに感じていた娘。教科書に載る歴史も、こんな森の中だとずいぶん近く感じます。
本土の辺津宮には、沖津宮と中津宮の神様をお祀りする第二宮・第三宮もあります。島に渡らなくても三女神にお参りできることに、娘も興味を示していました。

さらに道を進んだ先が、高宮祭場(たかみやさいじょう)。社殿がなく、木々に囲まれた古代の祭場です。現地で「神様が降り立ったと伝えられる場所なんだって」と話すと、娘は少し緊張した様子。私も、木漏れ日の中の静けさが印象に残っています。

見学を終えた息子からは「また来ようね!」の一言。難しい歴史を全部理解できたかどうかはさておき、この時間を気に入ってくれたことが私はうれしかったです。
「海の道むなかた館」は休館日。次回のお楽しみに
宗像大社の近くには、地域の歴史や世界遺産について学べる「海の道むなかた館」もあります。ところが、私たちが行った12月29日は休館日。ここだけは残念ながら中に入れませんでした。

現在の案内では、常設展示に加えて大きなスクリーンで沖ノ島などの歴史を紹介しており、通常の入館料は無料。休館日は毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)と12月29日~1月3日です。私たちのように年末に出かける方は、ここを要チェックですね。公式サイトの利用案内で最新情報を確認できます。
北斗の水くみ海浜公園で、大島を眺める
宗像大社の後は、海の方へ。立ち寄ったのは北斗の水くみ海浜公園です。この日はあいにくの曇り空でしたが、広々とした海と砂浜の向こうに大島が見えました。

さっき神社で知った三女神のうち、一柱が祀られている中津宮は、この大島にあるんだよ、と話しながら海を見る。これだけで、ただの海岸が「さっきの話につながる場所」に変わります。
ちなみに「北斗の水くみ」という名前は、北斗七星のひしゃくが海の水をくむように見える天体現象に由来するそうです。星の観察を目的にするなら、季節や時刻を調べてから出かけたいところ。私たちは昼間の景色を楽しみました。
もう一つ、子どもが足を止めたのが砂浜の注意看板。「どうして取ってはいけないの?」「海はみんなのものじゃないの?」と質問が次々に出てきました。確かに、言われてみると考えたくなるテーマ。自然を楽しむことと、そこにあるものを守ること。こんな小さな疑問から話が広がるのも、旅育の面白さです。

海岸のルールや利用できる場所は現地の表示に従いましょう。風の強い日などは、波打ち際で無理をしないことも大切です。
帰りは「道の駅むなかた」へ。地元の食材を見るのも楽しい
最後に立ち寄ったのは道の駅むなかた。魚介類や野菜、お菓子など、地元のものがあれこれ並んでいて、見るだけでも楽しい場所でした。

その土地で採れたもの、つくられたものを知るのも、立派な地域学習の入口です。……などと言いながら、当時の私はお土産をあれこれ買ってしまいました。旅先の道の駅って、なぜか財布のひもがゆるむんですよね(笑)。
現在の道の駅むなかたは福岡県宗像市江口1172にあり、物産直売所の営業時間は通常9時~17時と案内されています。休館日や営業時間は変わる場合があるため、お出かけ前に宗像市の施設案内などで確認してください。
宗像大社に子どもと行く前に確認しておきたいこと
- 場所:宗像大社辺津宮は福岡県宗像市田島2331。大島の中津宮や沖ノ島の沖津宮とは別の場所です。
- 交通:JR東郷駅から公共交通でアクセス可能です。路線や時刻は変わるため、宗像市のアクセス案内を参照してください。
- 歩きやすさ:高宮祭場へ向かう道には階段や木立の中の道もあります。歩きやすい靴が安心です。
- 雨・寒さ:海沿いは風を感じることも。海浜公園まで回るなら、防寒着や雨具も天候に合わせて。
- 施設休館:「海の道むなかた館」は月曜日と年末年始などに休館します。年末の訪問では特に注意。
「宗像大社=本土の辺津宮だけ」と思いがちですが、三つのお宮が海でつながっていることを知ると、周辺の景色を見るのも面白くなります。時間に余裕がない日は、辺津宮だけをゆっくり歩いても十分楽しめると思います。
まとめ|旅先で生まれた「なんで?」が、いちばんの収穫
今回の宗像への親子旅で心に残ったのは、壮大な世界遺産の説明そのものよりも、娘のおみくじ、森のどんぐり、海岸の看板に向けられた素朴な疑問でした。
宗像大社で知った女神さまの話が、大島を眺めたときにまたつながる。そんな経験が一つでもあれば、それで十分な旅育だと思っています。
次は休館日で入れなかった「海の道むなかた館」にも行ってみたいところ。現地で学ぶこともあれば、見られなかった場所が次の楽しみになることもありますね。
参考情報(外部サイト)
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