通学合宿の「もらい湯」とは?協力者不足や運営課題、続けるための工夫

「通学合宿」という活動をご存じですか?

小学生が数日間、親元を離れて地域の公民館などで共同生活を送り、そこから学校に通う体験活動です。我が子が小学5年生と6年生のとき、福岡県内の地域で行われた通学合宿に2回参加しました。

子どもたちにとっては、友達との共同生活や地域の方々との交流ができる貴重な機会。でも、その活動を支える大人たちの様子を見ていると、「いい活動だから、毎年同じように続ければいい」と簡単には言えない事情も見えてきました。

特に大変だったのが、地域の方のお風呂を借りる「もらい湯」の協力者集めです。

たった1日の「もらい湯」なのに、毎年担当者が直前まで慌てふためいている……。そんな状況を見て、何とかならないものかと感じていました。

今回は、我が子の地域で経験した通学合宿の運営課題や、活動をよりよいものにするための工夫について、一保護者の立場から考えてみます。

この記事で分かること
・通学合宿の「もらい湯」とは?
・協力者集めや送迎に関する課題
・協力者が集まらないときの対応方法
・通学合宿の効果を振り返る方法
・地域の協力者を増やし、活動を続けるための工夫

なお、通学合宿の基本的な内容や、我が子が参加した4泊5日の生活については、「通学合宿とは?目的・メリットと4泊5日の体験談」で紹介しています。

目次

通学合宿の「もらい湯」とは?地域の家でお風呂を借りる体験

通学合宿のもらい湯をイメージした浴室の写真

通学合宿の特徴的な活動のひとつに、「もらい湯」があります。いったい何なのかというと、地域の方のお宅を訪問し、お風呂を借りることです。

通学合宿が行われる公民館や地域の施設には、入浴設備がない場合があります。そこで、近隣の方に協力してもらい、お風呂を借りるというわけです。

ただし、目的は単に入浴場所を確保することだけではありません。地域の方との交流や、よそのお宅を訪問するときのマナー、感謝の気持ちを伝えることなども、大切な学びとして考えられています。

確かに、子どもにとってはなかなかできない経験ですよね。ただ、活動の意義は理解できても、実際に実施するとなると話は別です。

我が子の地域では、4泊5日のうち「もらい湯」は1日だけ

私の地域の通学合宿は、通常4泊5日で行われていました。そのうち、1日だけ「もらい湯」を実施し、残りの3日は近隣の温泉施設を利用する形でした。

つまり、すべての入浴を地域のお宅にお願いしていたわけではありません。それでも、このたった1日の「もらい湯」が毎年の課題になっていたのです。

何が大変かというと、まずはお風呂を貸してくださる方を探さなければなりません。そして、それだけでは終わらないんです。

お風呂を貸してくれる人だけでなく、送迎する人も必要

地域の方のお宅まで子どもたちが移動するには、送迎の協力者も必要になります。

「送迎なんて、ただ送り迎えするだけでしょ?」と思うかもしれませんが、細かく考えるといろいろな問題があります。

送迎で考えておきたいこと
・複数のお宅に分かれるため、送迎の段取りが複雑になる
・狭い道も多く、地域の道路事情に詳しい人が必要
・暗い時間帯に他人の子どもを送迎することへの不安
・子どもたちが入浴している間の待機場所や時間の調整
・移動中や入浴前後の安全確認

こうして考えると、送迎だけでもかなりの調整が必要ですよね。加えて、お宅を提供する側にも準備や負担があります。

お風呂を使ってもらう時間を確保したり、家族の生活時間を調整したり。知らない子どもたちを自宅に迎え入れることに、不安を感じる方もいると思います。

「地域の子どもたちのため」とはいっても、協力することが当たり前というわけではありません。

協力してくださる方の気持ちや生活も大切にしたい。そう感じます。

子ども本人の気持ちやプライバシーにも配慮したい

もうひとつ忘れたくないのが、入浴する子ども自身の気持ちです。よそのお宅のお風呂を借りることを楽しみに感じる子もいれば、抵抗を感じる子もいるかもしれません。

入浴はプライバシーに関わることです。そのため、受け入れ家庭や送迎者の確認、安全管理に加えて、子どもが不安を感じた場合の代替方法も必要だと思います。

せっかくの体験活動ですから、無理に経験することが目的にならないようにしたいですね。

「もらい湯」の協力者が集まらないとき、どうする?

では、協力者が集まらない場合はどうしたらよいのでしょうか。私の地域では、当時、次のような対応が考えられていました。

  1. 参加者の保護者にも協力を呼びかける
  2. もらい湯と温泉施設を併用する
  3. もらい湯をやめて、全日程で温泉施設を利用する
  4. 初日は自宅で入浴を済ませてから参加する

当時は初日に「もらい湯」を設定していたため、どうしても実施できないときには、自宅で入浴を済ませてから集合する方法も考えられていました。

私が知る限り、結局は毎年なんとか協力者が集まり、「もらい湯」がなくなったことはありませんでした。とはいえ、担当者が直前まで慌てふためいている様子を目の当たりにしていると、何とか対策できないものかと思います。

もらい湯には独自の価値があると思います。ただ、それを続けるために、毎年誰かが無理をしなければならないのだとしたら……。少し考え直してもよいのではないでしょうか。

活動の目的を大切にしつつ、地域の実情に合った方法を選ぶ。それが長く続けるためには必要だと思います。

通学合宿の効果は?「楽しかった」だけで終わらせないために

我が子が参加したことで、私は通学合宿についていろいろと調べるようになりました。子どもたちの感想を見る限り、友達との共同生活や地域の方々との交流には、確かに意味がありそうです。

でも、当時の運営側からの報告は、活動内容や日程、子どもたちの感想の抜粋などが中心でした。正直なところ、それだけでは活動の全体像まではよく分からなかったんです。

通学合宿って、実際どれくらい効果があるのかな?

もちろん、子どもの成長がすべて数字で測れるとは思いません。ただ、これだけ多くの人が時間を使って関わる活動です。何を目指し、実際にどうだったのかを振り返ることには、大きな意味があると思います。

「IKR評定用紙」で活動前後の変化を見る方法も

宿泊体験活動などの効果を振り返る方法として、「IKR評定用紙」というアンケートがあります。

「IKR」は「生きる(IKIRU)」から来た名称で、子どもたちの心理的・社会的な力や生活面の行動などを捉えるためのものです。簡易版は28項目で構成され、活動前後の回答を比べることで、変化を知る手がかりになります。

文部科学省でも、長期宿泊体験活動の調査でIKR評定用紙を活用した事例が紹介されています。

参考:文部科学省「長期宿泊体験活動が子どもたちに及ぼす影響」

ただし、活動前後で点数が変わったからといって、そのすべてが通学合宿の効果だとは限りません。参加者が少ない場合などは、結果の解釈にも注意が必要です。

私としては、こうしたアンケートとあわせて、子どもや保護者、協力した地域の方から自由な意見を聞く方法も取り入れたいところです。

「楽しかった!」という声だけでなく、「ここが困った」「次はこうしたい」という意見も集める。そして、次の年の活動に生かす。

「よかったね」で終わらせない振り返りができると、通学合宿はもっとよい活動になるのではないでしょうか。

通学合宿を無理なく続けるために大切だと思う3つの工夫

通学合宿について考えるなかで、私が強く感じたのは、どんなによい活動でも、支える人が無理なく関われなければ続かないということです。

では、どうすれば協力する人が増え、活動を続けやすくなるのでしょうか。私なりに考えた3つの工夫をご紹介します。

① 活動の意義や魅力を、もっと分かりやすく発信する

地域活動の協力者を集めるのは、簡単ではありません。仕事や子育てで忙しい人も多く、休日の過ごし方も人それぞれです。

そんななかで協力をお願いするなら、まず「どんな活動で、なぜ大切なのか」が伝わることが必要だと思います。

例えば、活動の写真や参加者の感想、工夫したこと、改善点などを整理して発信する。実際にどんな活動が行われ、子どもたちが何を感じたのかが伝われば、「そんな活動だったのか」「それなら少し手伝ってみたい」と思う人も出てくるかもしれません。

そこで、改めて大切だと感じるのが、ホームページなどを通した情報発信です。

以前、ある小学校のホームページを見て、その充実ぶりに驚いたことがありました。学校の日常や子どもたちの活動、先生方の思いまで伝わってきて、思わず見入ってしまったんです。

そのときに感じたことや、参考にしたい工夫については、「すごい小学校ホームページを発見!土堂小学校の魅力と参考にしたい5つの工夫」で詳しく紹介しています。

学校ホームページと通学合宿の広報は、もちろん同じものではありません。でも、活動の様子を具体的に伝え、関わる人の思いや魅力を届けるという点では、共通する部分があると思います。

学校や地域のホームページ、広報紙などを通して活動を知ってもらえれば、協力の輪が広がるきっかけになるかもしれません。大切なのは、情報をただ掲載することではなく、読んだ人に活動の意義や魅力が伝わることだと思います。

もちろん、子どもの写真や個人情報を扱う場合には、本人や保護者の意向、公開範囲などへの配慮が必要です。顔写真がなくても、活動の魅力を伝える方法はいろいろあるはずです。

② 協力する大人にも「関わってよかった」と感じてもらう

通学合宿の目的は、子どもたちの体験や学びが中心です。でも、活動を支える大人にとっても、「参加してよかったな」と感じられることが大切ではないでしょうか。

子どもたちの笑顔や成長した姿を見るだけでも、やりがいを感じる方は多いと思います。それに加えて、活動の記録や成果を共有してもらえれば、協力した時間がどんな形で役立ったのかが見えてきます。

「子どもたちのために役に立つことができた!」「地域に貢献できた!」

そんな気持ちにつながれば、次も無理のない範囲で関わりたいと思う人が増えるかもしれません。

また、活動報告や運営の記録を残しておけば、次年度の担当者への引き継ぎにも役立ちます。毎年ゼロから準備を始めなくて済むだけでも、大きな負担軽減になりますね。

こうした記録は、次の担当者や協力者にとっても大切な財産になると思います。

③ 地域だけで抱え込まず、外部の力も上手に借りる

私の地域では、近隣の温泉施設が協力してくれたことで、子どもたちの入浴場所を確保できていました。これは、地域の外の力を上手に借りた、よい例だと思っています。

例えば、料理指導をしてくれる団体、レクリエーションの進行に慣れた人、広報を手伝ってくれる人など、いろいろな形の協力が考えられます。

すべてを地域の役員や保護者だけで抱え込む必要はないはずです。以前、子ども会イベントの出張サービスについても調べましたが、必要に応じて専門のサービスを活用する方法もあります。

限られた人数のなかで、誰かの善意や頑張りだけに頼り続けるのは、やはり難しいものです。

活動の大切な部分は残しながら、運営方法は柔軟に変えていく。そんな考え方も必要なのではないでしょうか。

地域活動の運営を考えるときに参考になる本

通学合宿で感じた協力者不足や負担の問題は、自治会や町内会、育成会などの地域活動にも共通する課題だと思います。

「これまでずっとこうしてきたから」という理由だけで同じ運営方法を続けるのではなく、今の暮らしに合ったやり方を考えていくことも必要ですよね。

そんな地域活動の運営を考える際に、参考になりそうなのが、『自治会・町内会 負担軽減&IT活用事例ブック』です。

自治会・町内会の負担軽減やIT活用の事例をテーマとした書籍で、通学合宿に限らず、地域活動の進め方を見直すヒントを探したい方に合いそうです。

私自身、地域活動では、協力してくれる人を増やすことだけでなく、一人ひとりの負担を減らして、関わりやすい仕組みを作ることも大切だと感じています。

地域の役員や運営に携わる方は、こうした事例を参考に、自分たちの地域で取り入れられることがないか考えてみるのもよさそうですね。

PR(広告)

まとめ|通学合宿を続けるには、子どもも大人も大切にしたい

今回は、通学合宿の「もらい湯」を中心に、協力者不足や運営上の課題、よりよい活動にするための工夫について考えてみました。

通学合宿には、子どもたちが普段と違う生活を経験し、地域の方々と交流できるという魅力があります。その一方で、お風呂を提供する人、送迎する人、料理や見守りをする人など、多くの大人の協力が必要です。

私は、通学合宿の意義を考えれば考えるほど、活動を支える大人たちの負担についても、もっと目を向ける必要があると感じました。

「地域の子どもは地域で育てる」という考え方は素敵だと思います。でも、それを実現するために、誰かが無理をし続けるのは違うはず。

よかった点も課題も共有し、外部の力も取り入れながら、少しずつ続けやすい形に変えていけたらいいですね。

我が子が参加するまでは、通学合宿についてほとんど知らず、一保護者としてお世話になるばかりだった私。でも、この経験を通して、活動を支えている人たちの思いにも気づくことができました。

機会があれば、私自身も何かの形でお手伝いしたい。そして、子どもも大人も「やってよかったね」と思える活動が、これからも続いていってほしいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

あわせて読みたい記事

「これ、誰かの役に立つかも!」と思ったら、ぜひシェアしてくださいね。
  • URLをコピーしました!
目次