宝珠山駅を見学!BRTひこぼしラインの線路跡とPOPOミュージアム

かつて電車が走っていた場所を、今はバスが走っている。そんな話を聞いたら、ちょっと見に行きたくなりませんか?

気になっていたのは、福岡県と大分県を結ぶ「日田彦山線BRTひこぼしライン」。2017年の九州北部豪雨で被災した鉄道路線が、線路の敷地を一部生かしたバス路線へと生まれ変わった交通機関です。

2025年8月、福岡県東峰村の宝珠山駅に車で立ち寄り、旧ホームやBRTのりば、駅舎などを見学してきました。今回はバスへの乗車レポートではなく、実際に見た風景を写真で紹介する記事です。POPOミュージアム、キッズスペース、シェアサイクルや発車時刻もあわせて整理しました。

目次

なぜ日田彦山線は鉄道からBRTに変わったの?

BRTとは「Bus Rapid Transit」の略で、一般に「バス高速輸送システム」と呼ばれます。「高速」と聞いて高速道路を走るバスを想像しがちですが、そういう意味ではありません。専用道や運行方法を工夫して、バスを使いやすい地域交通にする仕組みです。

もともとこの地域ではJR日田彦山線の列車が走っていました。しかし2017年7月の九州北部豪雨で一部区間が被災し、運休に。関係者による復旧方法の協議を経て、鉄道ではなくBRTとして再出発することになりました。運行開始は2023年8月28日です。

ひこぼしラインは添田駅から日田駅まで約40km。そのうち彦山駅〜宝珠山駅の約14kmは、以前の鉄道敷を利用したバス専用道を走ります。それ以外の区間は一般道を使用します。つまり、全区間を線路跡の専用道路にしたわけではないんですね。

鉄道を復旧させるのではなく、線路があった場所を道路にしてバスを走らせる。言葉では分かっても、実際はどんな景色なのか。そこがいちばん知りたかったところです。JR九州|BRTひこぼしライン公式サイトでも路線図や利用案内を確認できます。

宝珠山駅へ。旧ホーム側には鉄道の面影が

宝珠山駅は、BRT専用道区間の南側の端にあたる停留所です。今回はBRTには乗らず、車で駅まで向かいました。

まず興味を引かれたのは、以前ここが鉄道駅だったことを感じられる旧ホーム側の風景。そこには、今の用途に合わせて整えられたガラス張りの空間もありました。

宝珠山駅の旧ホーム側に整備されたガラス張りの空間
旧ホーム側に整備されたガラス張りの施設。以前の鉄道駅の面影を感じます。

「鉄道がなくなった場所」と聞くと、何も残っていない姿を想像していましたが、ここは違いました。古い駅の記憶と、新しい使い方が一緒に残っている印象です。

「いってらっしゃい!」と見送りたくなる、BRT専用道の一本道

そして、もう一つ見ておきたかったのが、線路跡を活用したBRT専用道の入口。宝珠山駅付近で、遮断機の向こうに細い一本道が続いていました。

宝珠山駅付近のBRT専用道入口にある遮断機と山あいに続く道
宝珠山駅付近から見たBRT専用道の入口。遮断機の先に一本道が続いています。

ここを電車ではなくバスが走るのかと思うと、なんだか不思議。山あいへ延びる一本道を見ていると、「いってらっしゃい!」とバスを見送りたくなります。実際にバスが専用道へ入る場面を見届けたわけではありませんが、この景色だけでも訪れた甲斐がありました。

専用道は一般車や歩行者が自由に通れる道ではありません。見学の際は立ち入らず、安全な場所から眺めましょう。

POPOミュージアム|旧ホームが「過ごせる場所」に

宝珠山駅を見学していて、駅のイメージが変わったのが「POPOミュージアム」周辺です。旧ホームを生かした空間には、印象的な黒いベンチが並んでいました。

POPOミュージアム付近の模様が美しい黒い椅子オブジェ
POPOミュージアム周辺に並ぶ、背もたれの模様が印象的な黒い椅子。

背もたれの模様が一つひとつ違っていて、椅子というより、ちょっとしたアート作品のよう。インスタ映えしそうな椅子オブジェがずらりと並んでいて、思わず写真を撮りたくなる場所でした。見た目はかなり個性的なのに、山あいの駅の景色になじんでいるのが不思議です。

宝珠山駅の旧ホーム側に並ぶ装飾が施された椅子
旧ホーム側にずらりと並ぶ、特徴的な背もたれの椅子。

福岡県の観光情報によると、宝珠山駅の整備には、豪華寝台列車「ななつ星in九州」などのデザインを手がけた水戸岡鋭治さんも関わっています。こうした装飾を見ると、単なる停留所ではなく、駅そのものを訪ねたくなる場所にしようという工夫を感じます。福岡県公式観光サイトの施設紹介にも詳しい案内があります。

駅舎にはCAFE POPOも。私が訪ねたときは開業前でした

ガラス越しには木製のテーブルや椅子が並び、落ち着いた雰囲気の室内が見えました。

宝珠山駅のガラス窓越しに見える木製テーブルと椅子
窓越しに見えた木のぬくもりある室内。CAFE POPO開業前の2025年8月撮影。

現在は「CAFE POPO」が設けられていますが、私が訪ねたのは2025年8月。東峰村の広報(2025年10月号)によれば、カフェがオープンしたのは同年9月30日なので、写真は開業前の様子です。コーヒーや食事をいただいた体験談ではありません。

福岡県の観光情報では、岩屋湧水を使ったドリンクや、高取焼のカップなども紹介されています。営業時間・営業日は変わる可能性があるので、カフェを目当てにする場合は事前に確認しておくと安心です。

キッズスペース「POPO KIDS」もあるそうです

もう一つ気になったのが、駅舎に設けられた「POPO KIDS」。旧待合室を生かした子ども向けの空間で、福岡県の観光サイトでは木のボールプールや階段を使った遊具、レールのおもちゃなどが紹介されています。

今回は遊具を利用していないため、使い勝手についての体験談は書けませんが、小さな子ども連れでも「バスを待つだけ」では終わらない場所になっているのは魅力的。乗り物好きの子なら、駅と遊び場が一緒なのも楽しそうです。

駅前にはシェアサイクルも|利用条件には注意

駅の近くには電動アシスト自転車が並んでいました。現地で撮った写真がこちらです。

2025年に宝珠山駅前に置かれていたシェアサイクル用自転車
宝珠山駅前に並んでいたシェアサイクル。2025年の実証事業開始前に撮影。

福岡県が発表した2025年の「RinRinオリヒメ」実証事業では、宝珠山駅・筑前岩屋駅・大行司駅・道の駅小石原前の4か所に各3台を設置し、所定の場所で借りたり返したりできる仕組みでした。利用にはドコモ・バイクシェアのアプリ登録が必要で、当時の料金は4時間800円、24時間最大1,500円です。

ただし、実証事業の利用期間は2025年9月1日〜12月25日。この写真を撮ったのは開始直前の8月末で、この記事を書いている2026年10月時点で同条件の貸し出しが続いているとは確認できません。現在の利用可否は、事前に福岡県の2025年実証事業案内や東峰村の最新情報をご確認ください。

駅から周辺の自然や集落を見に行く移動手段として、こうした仕組みがあるのは面白いですね。BRTで来て、そこから自転車で観光する。車がなくても移動の選択肢が広がることを考えさせられました。

BRTのりばと青い車両も見られました

駅舎には「BRTのりば」の案内があり、建物のすぐ近くからバスに乗れるようになっています。

宝珠山駅の駅舎入口にあるBRTのりば案内
宝珠山駅舎の入口には、BRTのりばを示す案内があります。
宝珠山駅のBRT停留所と屋根付き待合スペース
宝珠山駅のBRT停留所。駅の名前を残しながらバスを迎えています。

一般的なバス停に似ていますが、表示は「宝珠山駅」。昔の鉄道駅の名前がそのまま残っているのも、なんだかいいですね。

そして、見学中には青い車両も見ることができました。

宝珠山駅のBRT停留所標識と青い燃料電池バス
宝珠山駅の案内標識と青いBRT車両(2025年8月撮影)。
2025年に宝珠山駅で撮影した青いFCEV燃料電池バス
青い燃料電池バス(2025年撮影)。この車両の実証運転は2026年3月末で終了しています。

車体に「FCEV」と書かれているのは、水素を利用する燃料電池バス。写真は2025年当時の実証運転車両で、FCバスの実証運転は2026年3月31日で終了しています。今もこの青い車両が通常運行していると受け取られないよう、ここは撮影当時の記録として紹介します。

今回は車で立ち寄ったので、BRTの乗り心地や専用道を走る車窓の景色は未体験です。でも、駅と車両を眺めているだけでも「鉄道からバスに変わった」という話がぐっと身近になりました。

宝珠山駅のBRT時刻表|本数と行き先を確認

停留所には発車時刻表も掲示されていました。下の写真は2025年3月改正時点のものです。旅行の計画には現在の時刻を使ってください。

宝珠山駅に掲示されていた日田方面のBRT発車時刻表
宝珠山駅で撮影した発車時刻表(2025年3月改正)。最新の運行時刻はJR九州公式サイトへ。

2026年10月にJR九州の駅別時刻表で確認したところ、宝珠山駅からは日田方面・添田方面の両方に便があります。日中の発車時刻を一部抜粋すると、次のようになっています。

行き先日中の発車時刻の例(2026年10月確認)
日田方面(下り)10:27 / 12:12 / 13:34 / 15:28 / 16:26
添田方面(上り)10:27 / 11:48 / 13:34 / 14:36 / 16:02

毎時何本もある路線ではないので、見学の合間に少しだけ乗ってみたい場合も、帰りの便まで確認しておくと安心です。宝珠山駅・日田方面の最新時刻表/宝珠山駅・添田方面の最新時刻表を出発前にチェックしてください。

宝珠山駅の場所・アクセス

所在地福岡県朝倉郡東峰村福井926-7
BRTでのアクセスBRTひこぼしライン「宝珠山駅」下車
車でのアクセス現地の駐車案内に従って利用(駐車場あり)
問い合わせ東峰村役場 ふるさと推進課 0946-72-2312

施設の開館状況、CAFE POPOの営業日、キッズスペースの利用条件、イベント開催などは変わることがあります。駅でゆっくり過ごしたい場合は、福岡県公式観光サイトの宝珠山駅紹介などで新しい情報を確認してください。

子どもと訪れるなら、乗り物だけでなく「地域の変化」にも注目

小さな子どもなら、車両を見たり木のおもちゃで遊んだり。一方、少し大きくなった子なら「どうして鉄道をそのまま直さなかったんだろう?」「専用道と普通の道路を使い分けると何が違う?」なんて話題から、災害復旧や地方の交通を考えるきっかけにもなりそうです。

もちろん、難しい勉強をしなくても大丈夫。実際の場所に立って、「へえ、ここを電車が走っていたのか」と感じるだけでも十分に面白いと思います。

まとめ|変わったのは乗り物だけじゃなかった

最初は、線路跡をバスが走るという仕組みへの好奇心から立ち寄った宝珠山駅。実際に見ると、旧ホームの面影を残しながら、BRTのりばやPOPOミュージアムといった新しい役割を持つ場所になっていました。

鉄道がなくなるのは寂しいことでもあるけれど、交通の形を変えて地域をつなぎ、駅を人が集まる場所にしようとしている。その両方を感じられたのが印象に残っています。

BRTには乗りませんでしたが、見学だけでも十分に興味深い立ち寄り先でした。気になった方は、運行時刻や施設の最新情報を確認して、訪ねてみてください。

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